朝田寺の法要①道明供養

道明供養と掛衣

道明供養と掛衣

お地蔵様は故人を極楽に導く仏

人は死んですぐ成仏するのでなく、7日ごとの裁きを受けながら死出の旅路にでると言われます。初七日は不動明王、二七日は釈迦如来、三七日は文殊菩薩・・・・・というように、それぞれの忌日には、それぞれの仏が守ってくださるそうです。

「35日を裁く閻魔王、弁護士はお地蔵様」

閻魔様は地獄の裁判官の親玉。35日は閻魔王の裁きを受ける日。そこに弁護に立つのがお地蔵さまです。そのお地蔵様に故人を極楽浄土に導いて下さいというお参りが、伊勢の地には残っています。松阪を中心とした地にお住まいの方々は朝田寺の地蔵に、伊勢を中心とした地にお住まいの方々は金剛証寺の地蔵に宗派を問わず、神道の方々もお参りされます。

掛衣
本堂天井に掛かる故人の衣類

 「わしが死んだら 朝田の地蔵へ 掛けておくれよ振袖を」

元禄の頃にうたわれたと伝えられています。「わしが死んだら、この振袖を掛けてくれよ」というおばあちゃんの遺言が詩として残っているのでしょう。極楽への道を明けるという『道明供養(みちあけくよう)」のお参りは、300年以上の長きにわたって続いています。道明供養にいらっしゃる際には、必ず衣類を一着持ってきます。衣類は、回向が終わった後天井に掛けられます。衣類を掛けるという風習は、かつては他にもあったそうですが、今なお残っているのは、全国でも朝田寺だけだそうです。

〈8月23日 11時、衣類を焼き最後の供養が行われる〉

今掛かっている衣類は、この8月に初盆を迎える方々の衣類です。8月16日から23日には、遺族の方々は初盆の供養に訪れ、故人の衣類に手を合わせ、故人を偲びます。初盆の供養がすべて終わる23日、夜10時30分、6人の僧侶の読経の内にお地蔵様の厨子の幕(戸帳)が降り、厨子の扉が閉められます。その後、衣類を焼きに訪れた方々と衣類を焼いて最後の供養をし、朝田寺の地蔵盆が終わります。