朝田寺

蓮のはなし ~ 朝田寺住職の手記 ~

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この記事は、過去に先代住職、榎本義穰が記したコラムを再編集したものです。

=以下本文=

朝田寺は「花のお寺」としても愛されてきました。時代とともに見られる花は変わってきていますが、今でも見頃になるとたくさんの方々が当寺を訪れます。

朝田寺の蓮は「朝田寺紅蓮(ちょうでんじこうれん)」という当寺が由来とされています。蓮の品種は200種ほどあるそうですが、朝田寺の名がついた蓮は、中輪ですが、濃いピンクと花弁が一枚だけ先の方で少し折れ曲がるのが特徴です。

朝田寺紅蓮

2000年代初頭だったでしょうか。桑名市在住の堀田さんが、甕にいれた蓮を持っていらっしゃいました。名前を朝田寺から取って、「朝田寺紅蓮」と名付けられた濃いピンクの蓮です。琵琶湖の水生博物館にも、朝田寺紅蓮としてあるそうです。毎年4月10日ころに甕を掘って、古い蓮根を捨てて、新しくできた蓮根と植え替える。私は、この機会に、蓮を育てたい方に、蓮根を差し上げています。今遠くは宝塚市にまでお嫁にいった蓮もありました。

7~8月頃に見頃を迎え、山門を入って左にある弁天池一面に咲きます。蓮の葉一枚に一本の花がつくほど、花着きのいい蓮です。

蓮の実

蓮の花の時期が終わると、池には蓮の実がいっぱいできています。蓮の花の中心にある黄色のジョウロの口のような実はだんだん大きくなって、ハチの巣のように育ちます。大きなものは、大人の手のひらより大きくなります。子供の頃、中の種を取って、茎を切り取り、新聞紙で挟んで重石で押さえてペシャンコになったのを、茶卓として使っていたのを思い出します。蓮の実の茶卓っていいものですよ。お声をかけていただければ、蓮の実を差し上げます。

蓮は午前10時頃にはお花が閉じてしまうため、朝が鑑賞できる時間帯となります。是非早朝にお越しください。

天台宗朝田寺 住職・名誉住職 高橋義海・榎本義譲

光福山延命院朝田寺 住職 /高橋義海
光福山延命院朝田寺 名誉住職 /榎本義譲

「朝田寺」は、三重県松阪市朝田町にあり、四方を水田に囲まれた歴史と文化と花の田舎寺です。地元では、朝田の地蔵さんと呼ばれて親しまれております。また、江戸時代中期の絵師「曽我蕭白」の作品等の文化財も所蔵、公開しております。

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