朝田寺客殿もとは、南面3室(西より10畳・10畳・12畳半)、北面3室(8畳・8畳・10畳)で、四周を濡縁で囲む書院造りの建物である。北面西の8畳は一段高い上段の間となり、正面右に床、左に付け書院を備えている。
後世、正面東側に玄関と奥に10畳2室を増築し、中央10畳の間を北(奥)に出して仏間を広げたため、創建当初とは異なっている。また、正面の塀は、元文5年(1740)に造られたものである。
写真は南面西側の下り棟の鬼瓦で、『元禄十二歳 已卯二月吉日』のヘラ描き銘がある。なお、南面東側の下り棟の鬼瓦には、『元禄十一歳戊寅八月吉日 冨嶋九郎兵衛』のヘラ描き銘がある。
このヘラ描き銘から、元禄11年(1698)から12年にかけて建立されたと考えられる。毎年4月20日から5月5日にかけて、朝田寺蔵の曽我蕭白の作品(獅子図・獏図・鳳凰図・唐人物画・布袋図と雁図・雄鶏図・布袋図)、李朝時代の甘露帖(1591年)がこの書院で公開展示される。