(朝田寺の坊主の独り言)
地蔵菩薩は、お釈迦様が亡くなって弥勒如来が出現するまでの56億7000万年の間、この地にあって人々を救うとされます。罪深い一切の衆生を仏の道に導かないうちは、自分は絶対に仏にならないと誓願され、迷える衆生が一人でもいるうちは、菩薩のままで、人間世界にあって活動される仏、それがお地蔵様です。
古くは、左手はひじを曲げて手の平を上に向け、願いごとを受け、右手をさげて手のひらを衆生に向け、願いごとを叶える、『与願の印』を結ぶ姿で表されます。平安時代の終わりになって、地蔵信仰が広がると、左手に宝珠(ほうじゅ、願いごとを叶える珠)、右手に錫杖を持つ姿に変わり、衆生と共に歩くで表されるようになのです。
地蔵菩薩の活動範囲は「六道能化のお地蔵さん」という言葉のように、地蔵菩薩は上は天上界から下は地獄界(天上界・人間界・畜生界・修羅界・餓鬼界・地獄界、これで六道)に至るまで様々なものものに身を変えて我々を救ってくださいます。なかでも苦悩の大きい場所は地獄や餓鬼の世界です。地獄の裁判官である閻魔王も地蔵菩薩の化身(代わりの姿)なのです。
35日目の裁判官は閻魔王です。裁判の席では、死者の生前の罪状が水晶の珠に映し出され、善と悪を天秤にかけて、罪の重さが測られ、どちらが重いかで行き先が決められるといいます。そこで、弁護するのがお地蔵さまです。
お地蔵様は閻魔様との二役をしているのです。