蕭白、書院南廊下の西に獏図・東に鳳凰図を描く

東の杉戸は西陽があたるため、痛みが激しく、絵具がはがれてしまった部分が多く、残りはよくありません。
桐の木にとまる鳳凰の姿は、孔雀のように美しく、緑の桐の葉に白と薄い青の羽根が映えてきれいだったと思います。鳳凰と言えば高貴な鳥。その顔はというと鳳凰に似つかず、まるで闘鶏の軍鶏のように、首の毛を逆立て、鋭い嘴を開け鳴き、長い足の先は鋭く長い爪がついている。「なんじゃ、この鳳凰は・・・・・・」観る人をギョとさせる蕭白のいたずらをここでも観ることができる。
裏は萩と兎。紫色に萩の花がわずかに残るが、墨画の萩の葉は一枚一枚丁寧で、上から下に描き下ろすその枝は、細く実に美しい。兎は白と黒、白兎は見つけるのが困難なほど絵具がはげ落ち、右斜めから観るとわずかにその痕跡が認められる。
私はこの萩が大好きです。
ちなみに書き忘れましたが、『獏図』の裏は『槙と太陽」~額が悪夢を食べて翌朝良い夢を見させてくれる話しを表裏で表現している。真っ赤に燃える太陽を中央に描いた槙の木でぶった切る構図はいかにも蕭白である。