本尊に向かって阿形が左、吽形が右
朝田寺の蕭白筆「獅子図」が紹介されたのは、昭和46年9月3日発行の『みづゑ』(第800号 記念特集 綺想異風派の復権=若冲と蕭白)に掲載さえたのが、初と記憶しています。掲載された写真は修理する前のもので、画面に亀裂が入っています。それから以後、書籍・雑誌・図録等に掲載される獅子図は、すべて向かって阿形が右・吽形が左として掲載されてきました。
しかし、本堂に貼り付けられていた時の写真が見つかって、それを見ると、朝田寺本堂・本尊地蔵菩薩に向かって、阿形が左、吽形が右に配置されていたことが分かりました。
岩を登り、振り返る阿形の獅子。岩を下り、前を見つめる獅子。この配置の方が獅子の視線をより、意識して感じます。