紫陽花のはなし ~ 朝田寺住職の手記 ~
この記事は、過去に先代住職、榎本義穰が記したコラムを再編集したものです。
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朝田寺は「花のお寺」としても愛されてきました。時代とともに見られる花は変わってきていますが、今でも見頃になるとたくさんの方々が当寺を訪れます。
朝田寺の庭園に咲く色とりどりの紫陽花。境内には50種700株ほどの紫陽花が植えられています。品種によって開花時期が少し異なるため、日によって見られる花が異なるのが特徴です。 ここでは、朝田寺の紫陽花をいくつか紹介します。
つるあじさい

朝田寺に植えられている紫陽花の中で一番早く咲くのが、つ「るあじさい」です。朝田寺の庭園『萬祥苑』の入り口の門をくぐるとすぐ右側にあります。ほとんどの方が気づかずに通り過ぎていきます。 つるのように伸びた木の、上の方に花をつけています。紫陽花のように、目の高さかそれより下に花を見るのでなく、花が目の高さより上にあるため、花に気が付かないのでしょう。
スノーピラミッド

花が隙間なくびっしり三角形状に咲くことから名付けられたのが「スノーピラミッド」。葉っぱに八つ手のような深い刻み目があるのが特徴です。
かしわ葉紫陽花

葉っぱがかしわのような葉っぱをしているおとから、「かしわ葉紫陽花」と呼ばれています。 二等辺状に白い花がつきます。
くれない

山紫陽花の一種である「くれない」。 咲き始めは白の花ですが、次第にピンク色に染まり、最後は 深紅に変わります。
深山八重

濃い青紫色の花が特徴の「深山八重」。丈夫で育て安く、強健品種です。咲き進むにつれて色の変化を楽しめます。
伊豆の華

「伊豆の華」は、咲き始めは紺色の濃淡があり、やがてはっきりとした美しい紺青になります。
ラブ ユー キッス

数年前、お参りにいらした方からいただいたガク紫陽花「ラブ ユー キッス」。花弁のふちのピンク色が、次第に花弁のふちに広がり、花弁全体が薄いピンク色になる紫陽花です。山門を入ってすぐ左、大きな楠の木のしたにあります。
墨田の花火

一輪な花が線香花火の火花のようにパッ・パッ・パッ・・・・と開いたようなガク紫陽花「墨田の花火」。20年ほど前、挿し木で増やし、境内にうえました。朝田寺のあちこちに花開いています。
おたふく紫陽花

一つ一つの花の花弁が丸味をおびた「おたふく紫陽花」。おたふくという名がピッタリの紫陽花です。
他にも様々な紫陽花を育てています。
5月末〜6月中旬が見頃となりますので、ぜひ足をお運びください。

光福山延命院朝田寺 住職 /高橋義海
光福山延命院朝田寺 名誉住職 /榎本義譲
「朝田寺」は、三重県松阪市朝田町にあり、四方を水田に囲まれた歴史と文化と花の田舎寺です。地元では、朝田の地蔵さんと呼ばれて親しまれております。また、江戸時代中期の絵師「曽我蕭白」の作品等の文化財も所蔵、公開しております。